センター試験が終わったもつかの間、翌週末の土曜日にはかねてから依頼されていた講演の仕事、日曜日は恒例の仙台での研究会でした。

信夫学習センターでの講演では、「信夫郡をめぐる旧道と人々」と題するお話をさせていただきました。
私の拙い話に、看板倒れ、羊頭狗肉といった非難の嵐にならないかと心配でしたが、聴講者の皆さんには熱心に聴いていただけましたし、関係者の方々にも終始お気遣いいただいて、気持ちよく講師をつとめさせていただくことができました。

さて、本題です。
1月は実習の駆け込みラッシュのようになっていますが(笑)、今回は、宮城や岩手の水損資料レスキューでも多大な実績をあげた、東京文書救援隊をお招きしての実習です。

東京文書救援隊の木部徹さんとは、私がまほろんで行った講演に来て下さったことでご縁ができました。
木部さんご自身、郡山のご出身だそうです。
かねてから実習の講師としてお招きしたかったのですが、今回ようやく実現に至りました。
当日は助手として島田さんにもお越しいただきました。

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作業の手順は、①泥やカビの除去、②水洗い、③乾燥、に大別されます。

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①泥やカビの除去については、これまでもいわきや米沢のボランティアで、学生ともども経験してきましたが、この装置は、作業者に害が及ばないよう工夫してつくったものだそうです。

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物によっては、建物の解体にともなって、資料にアスベストが付着することもあるそうです。
中が見えるようアクリル板で上部を仕切られた作業台の背側には、空気清浄機が設置されています。
空気清浄機が吸気することで気流が発生し、作業者が粉塵を吸い込まなくて済むような仕組みになっています。
もちろん、排気はきれいになって放出されますので、安全な作業環境が保たれます。

刷毛は製図用のものを用いているそうです。

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紙の質にもよりますが、クリーニングクロスでこするように吹いても大丈夫なものは、この段階でしっかり付着物をおとします。

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②水洗いは、まず2枚のネット(網戸用だそうです)に挟みます。
その際、折れ目などが強い場合は、霧吹きで湿らせて延ばすようにするとよいそうです。

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プラスチックボードの台にのせて水につけ、なじんだところで刷毛で泥を落とします。

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網を外して作業をやってみると、泥が落ちていくのがはっきりわかります。
これを両面行います。

③乾燥ですが、まずは水をよく切った後、吸水シート(犬猫ペット用!)に挟み、上から押さえつけて、できるだけ水分を取ります。

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次に網を外し、順番に不織布と交換します。

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そして、段ボールと濾紙(コーヒーを入れる時に使うのと同じものだそうです!)で、不織布に挟んだ資料を上下で挟みます。

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これを重ねあわせ、プレス板と重しをのせて、扇風機で横から一気に風を通します。

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このとき、段ボールの断面の隙間を風が通ることで、蒸気となった水分を一気にとばし、乾燥にかかる時間を短縮するのだそうです。

学生も全員、作業を一通り体験してもらいました。
洋紙と和紙での感覚の違い、力の入れ具合など、やってみて初めてわかることも多々あります。

今回の話を聞いて興味をもってくださった職員の方たちも、途中から参加してくださいました。
少しは学生気分を味わっていただけたでしょうか?(笑)
泥がみるみる落ちてきれいになっていくのが、新鮮な驚きだったようです。

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詳しいレスキュー方法や、必要となる資材の購入方法などについては、東京文書救援隊のHPで紹介されていますので、ぜひご覧ください。
木部さんがおっしゃっていたように、作業そのものは比較的短時間で一通りできるようになります。
木部さん、島田さん、東京からわざわざご指導に来てくださり、有難うございました。

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昨今は震災だけでなく、夏の集中豪雨による河川の氾濫などによって、歴史資料が水損する危険性は、残念ながら年々高まっていると言わざるをえません。
そうした万一への備えとして、まさに防災訓練のように、常日頃から多くの人たちが技術と経験を積み、共有しておくことが大切です。

今後とも実習だけでなく、機会を捉えて学内外の多くの方々に体験していただけるようなかたちをつくっていければと考えています。
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