気がつくと、きちんとブログの記事を書くのはまる1か月ぶりになっていました。
この間、第2回全国史料ネット研究交流集会が無事終了し、その後の片付けや卒業式、たまった原稿+新規の原稿の仕事をこなしていたら、あっという間に入学式、新入生ガイダンスの仕事、そして新学期が始まっていました。
facebookページの方は比較的手軽かつ簡潔に記事を書いて写真を紹介できるのですが、ブログとなると、やはりまとまった内容をしっかり書こうと、ついかまえてしまうので、滞りがちになってしまったのかもしれません。

本当ならば、第2回全国史料ネット研究交流集会のことを記事に書かなければならないのですが、その内容があまりにも多いかつ重いものなので、いつか振り返りながら書くことになると思います。
いちおう『福島民友』4月6日号の文化面に寄稿させていただきましたが、残念ながらネットで記事は配信されませんので、どこかでお読みいただけるようにお願いしてみます。

さて、久しぶりにブログを書こうと思ったのは、『福島民報』の「県主体で設置、運営 アーカイブ拠点施設」という記事を読んだからです。

震災アーカイブ施設については、同僚の菊地芳朗さんが『ふくしま再生と歴史・文化遺産』(山川出版社)のなかで、アーカイブ施設を含んだより幅広い「震災ミュージアム」構想を提起されるなど、以前からその必要性が叫ばれていました。
昨年ごろから県への設置要望の答申が出され、新年度になってようやく実現への第一歩を踏み出したようです。
本来ならばたいへん喜ばしいものなのかも知れませんが、手放しでそうもできないところがあります。

現段階では構想の具体的中身が見えていないので何とも言えませんが、博物館や自治体が独自に震災遺産の保全・収集やアーカイブ事業に積極的に取り組んでいるのに比べ、県の取り組みはまだまだ不十分です。

第2回全国史料ネット研究交流集会で話を聞いた方であればお分かりのように、大震災の経験を後世に伝えようとする他県、防災意識の高い他県、地域再生のために歴史・文化遺産を必死に護ろうとする県内自治体の取り組みやその言葉には、学ぶべきものがたくさんありました。
でも、あの会に、はたしてどれだけの県関係者が出席していたのでしょうか。
もしおいでだったのであれば、アーカイブ施設の問題について何かしらの発言はいただきたかったところです。

本来ならば、福島県はあの悲惨な震災・原発事故の経験に基づいて、歴史・文化遺産・震災遺産の保全と継承、研究活用、文化遺産防災などについての先駆的取り組みをなしてもいいはずなのに、残念ながら他県や県内自治体のはるか後塵を拝しているのが現実です。
それなのに「オリンピックに間に合わせる」ために、わずか2年間できちんとしたものを構想・準備できるのでしょうか。

また、言葉尻をとらえるようかもしれませんが、「再生の歴史と未来館」という名称も気にかかります。
もし震災と原発事故を起点に被災から復興の歴史を語るものに終始するのであれば、それこそ富岡町や双葉町の皆さんが懸念しているような「震災・原発事故を起点に地域の歴史が語られ、それ以前の豊かな歴史との断絶が生じてしま」い、「自分たちが郷土への愛着とアイデンティティを素直に抱き、表明できなくなる」ことになりかねないのではないかという疑念もわいてきます。

なぜあのような未曽有の事故が起こったのか、その歴史的経緯を含めて検証するためには、関係資料をしっかりと保全・収集し、多分野からの学際的な研究を保障する環境整備や人員配置も必要です。
国が財政負担するとかしないとか言っていますが、国が関与せずに県独自でやるほうがむしろ、国の意向に左右されず、フリーハンドで原発関連資料を収集・公開し、研究することができるのではないかとさえ思います。

とにかく、きちんとしたものを作るには、それ相応の準備のための時間と手間が必要だと思うのです。
それでももしオリンピックに間に合わせようとするのであれば、一方ならぬ集中力と労力をかけて取りくまなければならないでしょう。
もちろん、目標を定めて集中的にやった方が、結果としていいものができることもあるので、ただ時間をかければいいというものでもないでしょうが。

願わくは必要な時間をかけて、県が主体となってできるだけ多くのアーカイブを収集・保全し、被災地の住民に寄り添いながらその思いを丁寧に汲みとり、震災アーカイブの保全や収集に関わった関係者や専門家たちの多様な意見にも真摯に耳を傾けながら、議論を尽くした上で県民の英知を結集し、皆が納得してよかったと思える、後世の人たちに意義あるものを作っていただきたいものです。

ふくしま史料ネットのfacebookページに掲載するにはふさわしくない、一個人の見解ですので、久しぶりにブログ記事に書くことにしました。

今度はぜひゼミの楽しい話を書きたいものです(・ω・)

※事実誤認があったことを踏まえ、表現を修正するなどしました。
 ちょっと行き過ぎた部分もあったので、あわせて手直ししました。趣旨は変わっていません。
 ご指摘をいただき、ありがとうございました。
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