2013.07.17 1冊の重み
昨日、菊地先生のもとにまとめて送られてきた分厚い報告書が、手元に届きました。
「語ろう!文化財レスキュー 被災文化財等救援委員会 公開討論会報告書」です。

20130717報告書

背表紙には「東北地方太平洋沖地震被災文化財等救援委員会 公開討論会報告書」とあります。
表紙にみえるように、1月23日、2月4日、2月22日の3回にわたって開催され、私もすべての回に出席し、魂のこもった数々の報告と熱弁に聞き入りました。
最終日には、自ら登壇を願い出て、拙いながらも討論に参加させてもらいました。

被災文化財等について考える会

この報告書は、多くの専門分野や地域を越えた方々が一堂に会し、技術、応急措置、保管環境、活動記録、人材育成、体制づくりなどのセッションに分かれて、自らの経験や知恵、教訓、地域の文化財等に対する思いなどを語ったものとして、文化財レスキューにとって画期的意義を有するものだと思います。
できることならば、関係者だけにわたる報告書にとどめず、一般の方でも手に入るようなかたちでの出版化をご検討いただきたいものです。

報告書を手にした瞬間、感慨にふけるのは遠い先のことだと分かっていながらも、この2年余りのことが自然と思い出されてきました。

福大に着任した頃は、こんなふうになるとはもちろん予想だにしませんでした。
ふくしま史料ネットが立ち上がった時、私は恥ずかしながら、活動の趣旨や大切さをほとんど何もわかっていませんでした。
本間宏さん、神戸の奥村弘さん、新潟の矢田俊文さんの話を聞きながら、おぼろげながらも震災時に何が必要なのかを事前に学んでいたことが、結果的によかったのだと思います。

このブログで、いずれ活動記録の写真をUPしていきますが、本当にいろいろなことがありました。
これは最初の須賀川での写真です。2011年4月のことです。
いつもは記録係をやっているので、自分が写っている珍しい写真です。
そういえば、このときは初めて買った作業着を着て安全靴を履き、ひたすら肉体労働に徹しました(苦笑)。

20110421須賀川にて

歴史資料保全活動のこともそうですが、よほどのことがなければ率先して前に出ることのない自分が、自らシンポジウムを企画し、公開討論会で登壇を志願して発言するなどといった、まったくもって柄にもないことをするようになるとは、これまた思いもよりませんでした。

でも、それは「ふくしま」にいる人間だからこそ前に出て言わなければいけない、外に発信しなければならない、という使命感に背中を押されてのことでした。
そして、情報の発信が不得手で、遠慮がちになかなか声をあげようとしない「ふくしま」の人たちに代わって、外から「ふくしま」にやってきた人間がやらなければいけないことだと思いました。

自分でもかわったな、と思います。
福島にお招きした五味文彦先生から「あなたも福島に来てかわったじゃない」と言われたので、客観的に見てもきっとそうなのでしょう(笑)。

そして公開討論会第2日の前日、福島市で開いたシンポジウム「ふくしま再生と歴史・文化遺産」についても、関係者の協力を得て、今年中には何とか上梓したいと思っています。
先の報告書の充実度には及ばないかもしれませんが、「ふくしま」の被災経験、そして県内各地で花開きつつある新たな取り組みを通して、歴史・文化遺産の貴さを私たちなりに訴えかけていけるものになればと思っています。
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